Ruby 1.9.2 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > 組み込みライブラリ > Enumeratorクラス
クラスの継承リスト: Enumerator < Enumerable < Object < Kernel < BasicObject
each 以外のメソッドにも Enumerable の機能を提供するためのラッパークラスです。 また、外部イテレータとしても使えます。
Enumerable モジュールは、 Module#include 先のクラスが持つ each メソッドを元に様々なメソッドを提供します。 例えば Array#map は Array#each の繰り返しを元にして定義されます。 Enumerator を介することにより String#each_byte のような 異なる名前のイテレータについても each と同様に Enumerable の機能を利用できます。
Enumerator を生成するには Enumerator.newあるいは Object#to_enum, Object#enum_for を利用します。また、一部の イテレータはブロックを渡さずに呼び出すと繰り返しを実行する代わりに enumerator を生成して返します。
外部イテレータとしての機能は Fiber を用いて実装されているため Fiber と同じ制限があります。 例えば以下のようなスレッドをまたいだ呼び出しはエラーになります。
a = nil Thread.new do a = [1, 2, 3].each a.next end.join p a.next #=> t.rb:7:in `next': fiber called across threads (FiberError) from t.rb:7:in `<main>'
new(obj, method = :each, *args) -> Enumerator
[permalink][rdoc]オブジェクト obj について、 each の代わりに method という 名前のメソッドを使って繰り返すオブジェクトを生成して返します。 args を指定すると、 method の呼び出し時に渡されます。
例:
str = "xyz" enum = Enumerator.new(str, :each_byte) p enum.map {|b| '%02x' % b } # => ["78", "79", "7a"]
new(size=nil) {|y| ... } -> Enumerator
[permalink][rdoc]Enumerator オブジェクトを生成して返します。与えられたブロックは Enumerator::Yielder オブジェクトを 引数として実行されます。
生成された Enumerator オブジェクトに対して each を呼ぶと、この生成時に指定されたブロックを 実行し、Yielder オブジェクトに対して << メソッドが呼ばれるたびに、 each に渡されたブロックが繰り返されます。
new に渡されたブロックが終了した時点で each の繰り返しが終わります。 このときのブロックの返り値が each の返り値となります。
例:
enum = Enumerator.new{|y| (1..10).each{|i| y << i if i % 5 == 0 } } enum.each{|i| p i } #=> 5 10 fib = Enumerator.new { |y| a = b = 1 loop { y << a a, b = b, a + b } } p fib.take(10) #=> [1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55]
each {...} -> object
[permalink][rdoc]each -> self
each(*args) {...} -> object
each(*args) -> Enumerator
生成時のパラメータに従ってブロックを繰り返します。 *args を渡した場合は、生成時のパラメータ内引数末尾へ *args を追加した状態で繰り返します。 ブロック付きで呼び出された場合は、 生成時に指定したイテレータの戻り値をそのまま返します。
例1:
str = "Yet Another Ruby Hacker" enum = Enumerator.new(str, :scan, /\w+/) enum.each {|word| p word } # => "Yet" # "Another" # "Ruby" # "Hacker" str.scan(/\w+/) {|word| p word } # => "Yet" # "Another" # "Ruby" # "Hacker"
例2:
"Hello, world!".scan(/\w+/) # => ["Hello", "world"] "Hello, world!".to_enum(:scan, /\w+/).to_a # => ["Hello", "world"] "Hello, world!".to_enum(:scan).each(/\w+/).to_a # => ["Hello", "world"] obj = Object.new def obj.each_arg(a, b=:b, *rest) yield a yield b yield rest :method_returned end enum = obj.to_enum :each_arg, :a, :x enum.each.to_a # => [:a, :x, []] enum.each.equal?(enum) # => true enum.each { |elm| elm } # => :method_returned enum.each(:y, :z).to_a # => [:a, :x, [:y, :z]] enum.each(:y, :z).equal?(enum) # => false enum.each(:y, :z) { |elm| elm } # => :method_returned
feed(obj) -> nil
[permalink][rdoc]Enumerator 内部の yield が返す値を設定します。
これで値を設定しなかった場合は yield は nil を返します。
この値は内部で yield された時点でクリアされます。
# 例 # (1), (2), ... (10) の順に実行される o = Object.new def o.each x = yield # (2) blocks p x # (5) => "foo" x = yield # (6) blocks p x # (8) => nil x = yield # (9) blocks p x # not reached w/o another e.next end e = o.to_enum e.next # (1) e.feed "foo" # (3) e.next # (4) e.next # (7) # (10)
next -> object
[permalink][rdoc]「次」のオブジェクトを返します。
現在までの列挙状態に応じて「次」のオブジェクトを返し、列挙状態を1つ分進めます。 列挙が既に最後へ到達している場合は、 StopIteration 例外を発生します。このとき列挙状態は変化しません。 つまりもう一度 next を呼ぶと再び例外が発生します。
next メソッドによる外部列挙の状態は他のイテレータメソッドによる 内部列挙には影響を与えません。 ただし、 IO#each_line のようにおおもとの列挙メカニズムが副作用を 伴っている場合には影響があり得ます。
[SEE_ALSO] Enumerator#rewind
例1:
str = "xyz" enum = str.each_byte str.bytesize.times do puts enum.next end # => 120 # 121 # 122
例2:
str = "xyz" enum = str.each_byte begin puts enum.next while true rescue StopIteration puts "iteration reached at end" end # => 120 # 121 # 122 # iteration reached at end puts enum.next #=> 再度 StopIteration 例外が発生
例3: Kernel.#loop は StopIteration を捕捉します。
str = "xyz" enum = str.each_byte loop do puts enum.next end # => 120 # 121 # 122
next_values -> Array
[permalink][rdoc]「次」のオブジェクトを配列で返します。
Enumerator#next とほぼ同様の挙動をします。終端まで到達した場合は StopIteration 例外を発生させます。
このメソッドは、
yield
と
yield nil
を区別するために使えます。
next メソッドによる外部列挙の状態は他のイテレータメソッドによる 内部列挙には影響を与えません。 ただし、 IO#each_line のようにおおもとの列挙メカニズムが副作用を 伴っている場合には影響があり得ます。
# 例、 next と next_values の違いを o = Object.new def o.each yield yield 1 yield 1, 2 yield nil yield [1, 2] end e = o.to_enum p e.next_values p e.next_values p e.next_values p e.next_values p e.next_values e = o.to_enum p e.next p e.next p e.next p e.next p e.next ## yield args next_values next # yield [] nil # yield 1 [1] 1 # yield 1, 2 [1, 2] [1, 2] # yield nil [nil] nil # yield [1, 2] [[1, 2]] [1, 2]
[SEE_ALSO] Enumerator#next, Enumerator#peek, Enumerator#peek_values
peek -> object
[permalink][rdoc]「次」のオブジェクトを返しますが、列挙状態を変化させません。
Enumerator#next のように 現在までの列挙状態に応じて「次」のオブジェクトを返しますが、 next と異なり列挙状態を変更しません。
列挙が既に最後へ到達している場合は、StopIteration 例外を発生します。
# 例 a = [1,2,3] e = a.to_enum p e.next #=> 1 p e.peek #=> 2 p e.peek #=> 2 p e.peek #=> 2 p e.next #=> 2 p e.next #=> 3 p e.next #raises StopIteration
[SEE_ALSO] Enumerator#next, Enumerator#next_values, Enumerator#peek_values
peek_values -> Array
[permalink][rdoc]Enumerator#next_values のように「次」のオブジェクトを 配列で返しますが、列挙状態を変化させません。
Enumerator#next, Enumerator#next_values のように 現在までの列挙状態に応じて「次」のオブジェクトを返しますが、 next と異なり列挙状態を変更しません。
列挙が既に最後へ到達している場合は、StopIteration 例外を発生します。
このメソッドは Enumerator#next_values と同様
yield
と
yield nil
を区別するために使えます。
# 例 o = Object.new def o.each yield yield 1 yield 1, 2 end e = o.to_enum p e.peek_values #=> [] e.next p e.peek_values #=> [1] p e.peek_values #=> [1] e.next p e.peek_values #=> [1, 2] e.next p e.peek_values # raises StopIteration
[SEE_ALSO] Enumerator#next, Enumerator#next_values, Enumerator#peek_values
rewind -> self
[permalink][rdoc]列挙状態を巻き戻します。
next メソッドによる外部列挙の状態を最初まで巻き戻します。 self を返します。
内包するオブジェクトが rewind メソッドを持つとき(respond_to?(:rewind) に 真を返すとき) は、その rewind メソッドを呼び出します。
[SEE_ALSO] Enumerator#next
例:
str = "xyz" enum = str.each_byte p enum.next # => 120 p enum.next # => 121 enum.rewind p enum.next # => 120
size -> Integer | Float::INFINITY | nil
[permalink][rdoc]self の要素数を返します。
要素数が無限の場合は Float::INFINITY を返します。 Enumerator.new に Proc オブジェクトを指定していた場合はその 実行結果を返します。呼び出した時に要素数が不明であった場合は nil を返し ます。
(1..100).to_a.permutation(4).size # => 94109400 loop.size # => Float::INFINITY (1..100).drop_while.size # => nil
[SEE_ALSO] Enumerator.new
with_index(offset = 0) {|(*args), idx| ... } -> object
[permalink][rdoc]with_index(offset = 0) -> Enumerator
生成時のパラメータに従って、要素にインデックスを添えて繰り返します。 インデックスは offset から始まります。
ブロックを指定した場合の戻り値は生成時に指定したレシーバ自身です。
例:
str = "xyz" enum = Enumerator.new(str, :each_byte) enum.with_index {|byte, idx| p [byte, idx] } # => [120, 0] # [121, 1] # [122, 2] require "stringio" StringIO.new("foo|bar|baz").each("|").with_index(1) {|s, i| p [s, i] } # => ["foo|", 1] # ["bar|", 2] # ["baz", 3]
生成時のパラメータに従って、要素にインデックスを添えてブロックを繰り返します。 インデックスは 0 から始まります。 Enumerator#with_index は offset 引数を受け取りますが、 each_with_index は受け取りません (引数はイテレータメソッドにそのまま渡されます)。
with_object(obj) -> Enumerator
[permalink][rdoc]with_object(obj) {|(*args), memo_obj| ... } -> object
繰り返しの各要素に obj を添えてブロックを繰り返し、obj を返り値として返します。
obj には任意のオブジェクトを渡すことができます。
ブロックが渡されなかった場合は、上で説明した繰り返しを実行し、 最後に obj を返す Enumerator を返します。
# 0,1,2 と呼びだす enumeratorを作る to_three = Enumerator.new do |y| 3.times do |x| y << x end end to_three_with_string = to_three.with_object("foo") to_three_with_string.each do |x,string| puts "#{string}: #{x}" end # => foo:0 # => foo:1 # => foo:2
[SEE_ALSO] Enumerable#each_with_object