Ruby 1.9.2 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > 組み込みライブラリ > Regexpクラス
クラスの継承リスト: Regexp < Object < Kernel < BasicObject
正規表現のクラス。正規表現のリテラルはスラッシュで囲んだ形式 で記述します。
/^this is regexp/
Regexp.new(string) を使って正規表現オブジェクトを動的に生成する こともできます。
str = "this is regexp" rp1 = Regexp.new("^this is regexp") p rp1 =~ str #=> 0 p Regexp.last_match[0] #=> "this is regexp"
正規表現 や リテラル/正規表現リテラル も参照してください。
compile(string, option = nil, code = nil) -> Regexp
[permalink][rdoc]new(string, option = nil, code = nil) -> Regexp
文字列 string をコンパイルして正規表現オブジェクトを生成して返します。
第一引数が正規表現であれば第一引数を複製して返します。第二、第三引数は警告の上無視されます。
str = "This is Regexp" t1 = Regexp.compile("this is regexp", Regexp::IGNORECASE) t1.match(str) puts $~ #=> This is Regexp t2 = Regexp.compile(' this # ここは使用されない \ is \ regexp # ここも使用されない ', Regexp::EXTENDED | Regexp::IGNORECASE) t2.match(str) puts Regexp.last_match #=> This is Regexp str = "ふるいけや\nかわずとびこむ\nみずのおと" t2 = Regexp.compile("ふる.*?と", Regexp::MULTILINE) puts t2.match(str)[0] #=> ふるいけや #=> かわずと
escape(string) -> String
[permalink][rdoc]quote(string) -> String
string の中で正規表現において特別な意味を持つ文字の直前にエ スケープ文字(バックスラッシュ)を挿入した文字列を返します。
rp = Regexp.escape("$bc^") puts rp #=> \$bc\^
last_match -> MatchData
[permalink][rdoc]カレントスコープで最後に行った正規表現マッチの MatchData オ ブジェクトを返します。このメソッドの呼び出しは $~ の参照と同じです。
/(.)(.)/ =~ "ab" p Regexp.last_match # => #<MatchData:0x4599e58> p Regexp.last_match[0] # => "ab" p Regexp.last_match[1] # => "a" p Regexp.last_match[2] # => "b" p Regexp.last_match[3] # => nil
last_match(nth) -> String | nil
[permalink][rdoc]整数 nth が 0 の場合、マッチした文字列を返します ($&)。それ以外では、nth 番目の括弧にマッチ した部分文字列を返します($1,$2,...)。 対応する括弧がない場合やマッチしなかった場合には nil を返し ます。
/(.)(.)/ =~ "ab" p Regexp.last_match # => #<MatchData:0x4599e58> p Regexp.last_match(0) # => "ab" p Regexp.last_match(1) # => "a" p Regexp.last_match(2) # => "b" p Regexp.last_match(3) # => nil
正規表現全体がマッチしなかった場合、引数なしの Regexp.last_match はnil を返すため、 last_match[1] の形式では例外 NoMethodError が発生します。 対して、last_match(1) は nil を返します。
str = "This is Regexp" /That is Regexp/ =~ str p Regexp.last_match #=> nil begin p Regexp.last_match[1] # 例外が発生する rescue puts $! #=> undefined method `[]' for nil:NilClass end p Regexp.last_match(1) #=> nil
try_convert(obj) -> Regexp | nil
[permalink][rdoc]obj を to_regexp メソッドで Regexp オブジェクトに変換しようと 試みます。
変換に成功した場合はそれを返し、失敗時には nil を返します。
Regexp.try_convert(/re/) # => /re/ Regexp.try_convert("re") # => nil
union(*pattern) -> Regexp
[permalink][rdoc]引数として与えた pattern を選択 | で連結し、Regexp として返します。 結果の Regexp は与えた pattern のどれかにマッチする場合にマッチするものになります。
p Regexp.union(/a/, /b/, /c/) #=> /(?-mix:a)|(?-mix:b)|(?-mix:c)/
引数を一つだけ与える場合は、Array を与えても Regexp を生成します。 つまり、以下のように書くことができます。
arr = [/a/, /b/, /c/] p Regexp.union(arr) #=> /(?-mix:a)|(?-mix:b)|(?-mix:c)/ # 1.8.7 より前は、以下のように書く必要があった p Regexp.union(*arr) #=> /(?-mix:a)|(?-mix:b)|(?-mix:c)/
pattern は Regexp または String で与えます。 String で与えた場合、それ自身と等しい文字列にマッチするものと解釈され、 エスケープされて結果の Regexp に組み込まれます。
p Regexp.union("a", "?", "b") # => /a|\?|b/ p Regexp.union(/a/, "*") # => /(?-mix:a)|\*/
引数をひとつも与えなかった場合、決してマッチしない Regexp を返します。
p Regexp.union() # => /(?!)/
結果の Regexp が対応する文字コードは引数として与えた Regexp が扱う文字コードに 一致します。 固定コードに対してコンパイルされている Regexp を複数与える場合、 それらのコードは一致していなければなりません。 異なる固定コードに対してコンパイルされている Regexp が存在する場合、 ArgumentError が発生します。
p Regexp.union(/a/e, /b/e) # => /(?-mix:a)|(?-mix:b)/e p Regexp.union(/a/e, /b/s) # => ArgumentError
コードが固定されている Regexp とコードが固定されていない Regexp を混ぜた場合、 結果の Regexp は固定されているコードに対応するものになります。
p Regexp.union(/a/e, /b/) # => /(?-mix:a)|(?-mix:b)/e
# オプションは合成されない p Regexp.union(/foo/i, /bar/x, /hoge/m) #=> /(?i-mx:foo)|(?x-mi:bar)|(?m-ix:hoge)/ # 文字列そのものにマッチする rep1 = [ "foo", "bar", "hoge"] p Regexp.union(*rep1) #=> /foo|bar|hoge/ p Regexp.union(rep1) #=> /foo|bar|hoge/ # 下記の場合オプションがつくのは最初だけ rep2 = [ /foo/x, "bar", "hoge"] p Regexp.union(*rep2) #=> /(?x-mi:foo)|bar|hoge/ p Regexp.union(rep2) #=> /(?x-mi:foo)|bar|hoge/
self == other -> bool
[permalink][rdoc]eql?(other) -> bool
otherが同じパターン、オプション、文字コードの正規表現であったらtrueを返します。
p /^eee$/ == /~eee$/x #=> false p /^eee$/ == /~eee$/i #=> false p /^eee$/e == /~eee$/u #=> false p /^eee$/ == Regexp.new("^eee$") #=> true p /^eee$/.eql?(/^eee$/) #=> true
self === string -> bool
[permalink][rdoc]文字列 string との正規表現マッチを行います。 マッチした場合は真を返します。
string が文字列でもシンボルでもない場合には false を返します。
このメソッドは主にcase文での比較に用いられます。
self =~ string -> Fixnum | nil
[permalink][rdoc]文字列 string との正規表現マッチを行います。マッチした場合、 マッチした位置のインデックスを返します(先頭は0)。マッチしなかった 場合、あるいは string が nil の場合には nil を返 します。
p /foo/ =~ "foo" #=> 0 p /foo/ =~ "afoo" #=> 1 p /foo/ =~ "bar" #=> nil
組み込み変数 $~ もしくは Regexp.last_match にマッチに関する情報 MatchData が設定されます。
文字列のかわりにSymbolをマッチさせることができます。
p /foo/ =~ "foo" #=> 0 p Regexp.last_match(0) #=> "foo" p /foo/ =~ "afoo" #=> 1 p $~[0] #=> "foo" p /foo/ =~ "bar" #=> nil unless /foo/ === "bar" puts "not match " #=> not match end str = [] begin /ugo/ =~ str rescue TypeError printf "! %s\t%s\n", $!, $@ #=> ! can't convert Array into String r5.rb:15 end
casefold? -> bool
[permalink][rdoc]正規表現が大文字小文字の判定をしないようにコンパイルされている時、 真を返します。
reg = Regexp.new("foobar", Regexp::IGNORECASE) p reg.casefold? #=> true reg = Regexp.new("hogehoge") p reg.casefold? #=> false
encoding -> Encoding
[permalink][rdoc]正規表現オブジェクトのエンコーディングを表す Encoding オブジェクト を返します。
fixed_encoding? -> bool
[permalink][rdoc]正規表現が任意の ASCII 互換エンコーディングとマッチ可能な時に false を返します。
hash -> Fixnum
[permalink][rdoc]正規表現のオプションやテキストに基づいたハッシュ値を返します。
p /abc/i.hash #=> 4893115 p /abc/.hash #=> 4856055
inspect -> String
[permalink][rdoc]Regexp#to_s より自然な文字列を返します。
p /^ugou.*?/i.to_s #=> "(?i-mx:^ugou.*?)" p /^ugou.*?/i.inspect #=> "/^ugou.*?/i"
[SEE_ALSO] Regexp#to_s
match(str, pos = 0) -> MatchData | nil
[permalink][rdoc]match(str, pos = 0) {|m| ... } -> object | nil
指定された文字列 str に対して位置 pos から自身が表す正規表現によるマッ チングを行います。マッチした場合には結果を MatchData オブジェクトで返し ます。 マッチしなかった場合 nil を返します。
省略可能な第二引数 pos を指定すると、マッチの開始位置を pos から行 うよう制御できます(pos のデフォルト値は 0)。
p(/(.).(.)/.match("foobar", 3).captures) # => ["b", "r"] p(/(.).(.)/.match("foobar", -3).captures) # => ["b", "r"]
pos を指定しても MatchData#offset 等の結果 には影響しません。つまり、
re.match(str[pos..-1])
と
re.match(str, pos)
は異なります。
ブロックを渡すと、マッチした場合に限り MatchData オブジェクトがブロック引数に渡されて実行されます。 マッチした場合はブロックの値を返し、マッチしなかった場合は nil を返します。
results = [] /((.)\2)/.match("foo") {|m| results << m[0] } #=> ["oo"] /((.)\2)/.match("bar") {|m| results << m[0] } #=> nil results #=> ["oo"]
使用例
reg = Regexp.new("foo") if reg.match("foobar") print "match\n" #=> match end p reg.match("foobar") #=> #<MatchData:0x29403fc> p reg.match("bar") #=> nil p /(foo)(bar)(baz)/.match("foobarbaz").to_a.values_at(1,2,3) #=> ["foo", "bar", "baz"]
正規表現にマッチした部分文字列だけが必要な場合に、
bar = /foo(.*)baz/.match("foobarbaz").to_a[1] foo, bar, baz = /(foo)(bar)(baz)/.match("foobarbaz").to_a.values_at(1,2,3)
のように使用できます。(to_a は、マッチに失敗した場合を考慮しています。)
多重代入の規則では右辺が配列でない一つのオブジェクトで to_a メソッドを持つ場合、右辺に * を付けることで to_a の結果を利用でき ます。つまり、上記は以下のように書くことができます。(ここでの `_' は、$& を捨てるために適当に選んだ変数名)
_, foo, bar, baz = */(foo)(bar)(baz)/.match("foobarbaz") p [foo, bar, baz] # => ["foo", "bar", "baz"]
このような用途に MatchData#captures が使 えると考えるかも知れませんが、captures では、マッチに失敗した場合、 nil.captures を呼び出そうとして例外 NoMethodError が発生して しまいます。
foo, bar, baz = /(foo)(bar)(baz)/.match("foobar").captures # => -:1: undefined method `captures' for nil:NilClass (NoMethodError)
named_captures -> { String => [Integer] }
[permalink][rdoc]正規表現に含まれる名前付きキャプチャ(named capture)の情報を Hash で返します。
Hash のキーは名前付きキャプチャの名前で、値は その名前に関連付けられたキャプチャの index のリストを返します。
/(?<foo>.)(?<bar>.)/.named_captures #=> {"foo"=>[1], "bar"=>[2]} /(?<foo>.)(?<foo>.)/.named_captures #=> {"foo"=>[1, 2]} # 名前付きキャプチャを持たないときは空の Hash を返します。 /(.)(.)/.named_captures #=> {}
names -> [String]
[permalink][rdoc]正規表現に含まれる名前付きキャプチャ(named capture)の名前を 文字列の配列で返します。
/(?<foo>.)(?<bar>.)(?<baz>.)/.names #=> ["foo", "bar", "baz"] /(?<foo>.)(?<foo>.)/.names #=> ["foo"] /(.)(.)/.names #=> []
options -> Integer
[permalink][rdoc]正規表現の生成時に指定されたオプションを返します。戻り値は、 Regexp::EXTENDED, Regexp::IGNORECASE, Regexp::MULTILINE, Regexp::FIXEDENCODING, Regexp::NOENCODING, の論理和です。
これで得られるオプションには生成時に指定したもの以外の オプションを含んでいる場合があります。これらのビットは 内部的に用いられているもので、Regexp.new にこれらを 渡しても無視されます。
p Regexp::IGNORECASE # => 1 p //i.options # => 1 p Regexp.new("foo", Regexp::IGNORECASE ).options #=> 1 p Regexp.new("foo", Regexp::EXTENDED).options #=> 2 p Regexp.new("foo", Regexp::IGNORECASE | Regexp::EXTENDED).options #=> 3 p Regexp.new("foo", Regexp::MULTILINE).options #=> 4 p Regexp.new("foo", Regexp::IGNORECASE | Regexp::MULTILINE ).options #=> 5 p Regexp.new("foo", Regexp::MULTILINE | Regexp::EXTENDED).options #=>6 p Regexp.new("foo", Regexp::IGNORECASE | Regexp::MULTILINE | Regexp::EXTENDED).options #=> 7
source -> String
[permalink][rdoc]その正規表現のもととなった文字列表現を生成して返します。
re = /foo|bar|baz/i p re.source # => "foo|bar|baz"
to_s -> String
[permalink][rdoc]正規表現の文字列表現を生成して返します。返される文字列は他の正規表 現に埋め込んでもその意味が保持されるようになっています。
re = /foo|bar|baz/i p re.to_s # => "(?i-mx:foo|bar|baz)" p /#{re}+/o # => /(?i-mx:foo|bar|baz)+/
ただし、後方参照を含む正規表現は意図通りにはならない場合があります。 この場合は名前付きキャプチャを使用すると影響を受けにくくなります。
re = /(foo|bar)\1/ # \1 は、foo か bar p /(baz)#{re}/ # \1 は、baz # => /(baz)(?-mix:(foo|bar)\1)/
使用例
re = /foo|bar|baz/i p re.to_s # => "(?i-mx:foo|bar|baz)" p /#{re}+/o # => /(?i-mx:foo|bar|baz)+/
[SEE_ALSO] Regexp#inspect
~ self -> Fixnum | nil
[permalink][rdoc]変数 $_ の値との間でのマッチをとります。
ちょうど以下と同じ意味です。
self =~ $_
使用例
$_ = "hogehoge" if /foo/ puts "match" else puts "no match" end #=> no match # ただし、警告がでる。warning: regex literal in condition reg = Regexp.compile("foo") if ~ reg puts "match" else puts "no match" end #=> no match if reg puts "match" else puts "no match" end #=> match # reg は nil でも false でも無いので常にtrue
EXTENDED -> Fixnum
[permalink][rdoc]バックスラッシュでエスケープされていない空白と # から改行までを無 視します。正規表現リテラルの //x オプションと同じ です。(空白を入れる場合は\でエスケープして\ (<-空白)と 指定します)
FIXEDENCODING -> Fixnum
[permalink][rdoc]正規表現が特定のエンコーディングの文字列にしかマッチしないことを意味します。
[SEE_ALSO] Regexp#fixed_encoding?
IGNORECASE -> Fixnum
[permalink][rdoc]文字の大小の違いを無視します。 正規表現リテラルの //i オプションと同じです。
MULTILINE -> Fixnum
[permalink][rdoc]複数行モード。正規表現 "." が改行にマッチするようになります。 正規表現リテラルの //m オプションと同じです。
NOENCODING -> Fixnum
[permalink][rdoc]正規表現のマッチ時に文字列のエンコーディングを無視し、 バイト列としてマッチすることを意味します。
正規表現リテラルの n オプションに対応します。